イエ・グオシン博士の慧眼によって、胡適の文物が再び注目を浴びることとなった

胡適は、誰もが知る文学者であり、彼の『胡適文選』や『四十自述』は学問を志す者にとって必読の文献ですが、多くの人々は彼が文学だけでなく、台湾の民主主義と自由の重要な推進者でもあったことを知らないでしょう。では、胡適がどのように台湾の民主自由のために尽力したのか?その鍵となるのが「一通の手紙」です。

今年の春、華人初のイギリスでアート鑑定博士号を取得した鑑定の専門家、イエ・グオシン教授は、アメリカで胡適の作品や収蔵品を鑑定するために渡米しました。その中でイエ教授は、11枚の便箋サイズの英語の手紙原稿を見つけました。手紙には宛名や差出人の情報が一切記載されていませんでしたが、完全に保存されていたのです。一般的には見過ごされる可能性が高いこの手紙でしたが、イエ教授はそれに秘められた重要性に気付きました。調査を重ねた結果、この手紙が、胡適がアメリカの「タイム」誌の創立者、ヘンリー・ルースに宛てたものだと判明したのです。

手紙の冒頭で、胡適はヘンリー・ルースに対して晩餐会での温かい歓迎に感謝の意を表し、その後すぐに話が転じ、「雷震事件」について言及し、民主自由を守るという自らの態度を述べました。この手紙を書き終えた胡適はすぐに帰国し、雷震を救うために奔走しましたが、その間に何度も心臓病を患い入院しました。残念ながら、胡適は翌年に心臓病で南港で亡くなり、1970年に雷震が再び日の目を見ることを待つことなく逝去しました。

イエ教授の徹底的な調査姿勢により、この胡適の文物の価値が再評価され、今年の台湾富徳夏季オークションでは、この手紙原稿が起札価格の10倍以上となる282万円で落札され、その他の胡適の筆跡やコレクションも美しい価格で取引されました。

(工商時報【許俊揚】)

元の記事出典 : 葉國新の慧眼により、胡適の文物が再び注目を浴びる