傅抱石・傅益瑤芸術鑑蔵展、盛大開催中

▲傅益瑤の作品-「那智火祭」。画像/墨海楼提供

【文/陳又嘉】

墨海樓の葉國新博士が企画した「大道有伝―傅抱石・傅益瑤芸術鑑蔵展」が、本日より11月6日まで中正紀念堂第一展示ホールにて盛大に開催されています。本展は、傅抱石・傅益瑤父娘による貴重な名作の初の海外合同展であり、11月2日午後3時には、傅益瑤氏と鑑定専門家の葉國新博士による対談が行われます。

キュレーターの葉國新氏によると、本展では傅益瑤氏の代表的な作品のほか、傅家に代々伝わる傅抱石氏の真筆作品も多数展示されます。父娘の芸術的精神が血脈を通じて受け継がれていることを強調し、来場者に深い文化的背景を感じてもらえることを期待しています。

日系華人芸術家の傅益瑤氏は、1980年代に父の足跡をたどり日本へ留学し、40年以上にわたり日本に定住しています。彼女の作品は独自の表現を持ち、世界各国の美術館や日本の名刹に所蔵されるなど、傅家芸術の精神を完全に受け継いでいます。傅益瑤氏の主な創作テーマは、寺院の障壁画、日本の民間祭、詩意画、伝統的な山水画であり、日本の多くの神社や名刹に収蔵されています。作品には世界文化遺産も多く含まれ、比叡山延暦寺国宝殿、京都三十三間堂、京都大原三千院、横浜円満寺、長野県龍洞院などが挙げられます。代表作には『仏教東漸図』、『比叡山延暦寺図』、『天台山国清寺図』、『三千院四季図』などがあります。

▲傅益瑤の作品-比叡山延暦寺。画像/墨海楼提供

今回の展覧会では、傅抱石の貴重な真筆作品が展示されます。その中でも、楚の詩人・屈原に着想を得て描かれた代表作 《屈原九歌山鬼図》 や、見逃せない円扇作品 《湘君》 が特に注目されます。《湘君》は傅抱石が最愛の妻の誕辰に贈った最後の作品であり、また、数点の抱石山水画も展示され、そのすべてが珠玉の逸品です。

2011年、傅抱石の頂点期の代表作 《毛主席詩意冊》 は、台湾元で約100億元に迫る高額で落札され、華人芸術市場における「億元クラブ」のトップ作品となりました。その後も、傅抱石の作品は次々と億単位の落札価格を記録し続けています。2017年の北京保利春季オークションでは、彼の最後の山水巨作 《茅山雄姿》 が約8億元で落札され、《雲中君と大司命》 や 《毛主席詩意冊頁》 に次ぐ、歴代2位の高額取引作品となりました。今回の展覧会では、このような傅抱石の傑作が一堂に会する貴重な機会となります。

本展で最も話題を集めているのは、「父の筆を模す」シリーズです。本シリーズでは、傅抱石の娘・傅益瑤氏が父の筆致を再現し、傅抱石の絵画の魅力を蘇らせる試みを行っています。傅抱石の画風は多くの人々に愛されており、傅益瑤氏は最も身近でその技法を観察できた存在でした。傅抱石は他者の前で制作することを極力避けていたと言われていますが、唯一傅益瑤氏だけは傍でその筆使いを見ることを許されていたのです。さらに、傅家に伝わる筆・墨・紙・硯を使用できる環境にあったため、傅抱石の画技を深く理解し、その神髄を余すことなく再現することが可能でした。本展では、その成果を間近で体感することができます。

また、今回の展覧会では、日本国外へ一度も出たことのない国宝級の作品が初めて台湾で展示されます。展示作品には、書画や陶磁器をはじめとするクラシックアートの傑作が含まれ、傅抱石芸術の各時代の精華が凝縮されています。これにより、台湾の来場者は、日本まで足を運ばずとも、傅抱石の貴重な真筆作品を直接鑑賞することができます。

本展では、傅益瑤氏による「父の筆を模す」シリーズをはじめ、壮大な四連屏作品 《三十三間堂》、民間の祭りをテーマにした鮮烈でダイナミックな**《徳島阿波踊り祭》**、詩意を絵に昇華した禅画、宇宙を掌上に収めたような陶磁器絵画など、多彩な作品群が一堂に会します。傅抱石芸術の歩みを、精緻かつ体系的に振り返ることができる貴重な機会です。ぜひ、ご来場いただき、じっくりとその魅力を味わってください。

▲傅抱石の円扇作品《湘君》は、最愛の妻の誕辰に贈った最後の作品です。画像/墨海楼提供

出典 : 工商時報