台湾の誇り! アート鑑定界のヘンリー・リー―葉國新博士が真贋の謎を解き明かす

序文

華人初のイギリス美術鑑定学博士である葉國新博士は、数十年にわたり芸術界で活躍し、胡適先生の失われた手稿や、書画の大家である傅抱石、張大千などの真作を鑑定してきました。彼の学術的および実務的な経験を融合させ、葉博士は一般の人々に芸術品の真贋鑑定の秘訣を直接体験させ、最も神秘的な芸術の殿堂を垣間見る機会を提供しています。

文/高儷綾 写真/林煒凱 資料提供/墨海樓国際芸術研究機構

数年前、芸術や骨董の鑑定番組が大きな人気を博し、一般の人々は書画芸術や骨董の真贋鑑賞に関して、どこから始めればよいか分からず、専門家の判断や市場価格に頼るしかありませんでした。​2016年、国際的なオークション会社であるサザビーズのオークションで、オランダの名家による肖像画が新台湾ドルで3億円以上で落札されましたが、実際には巧妙な贋作であることが判明しました。このように、芸術品の偽造事件は古今東西を問わず後を絶たず、人々が求めるものには必ず偽造が存在します。では、芸術市場における真贋の判断は誰が行うのでしょうか。​葉國新博士は、西洋の検証論理と東洋の芸術技法を融合させ、科学的な証拠に基づく方法で、芸術品の真の価値を明らかにし、芸術投資市場の新たな可能性を探求しています。

学術と実務を融合させた独自の芸術鑑定方法

「鑑定学との出会いは、私自身が書画芸術を愛し、画家としても活動していたことがきっかけです」と葉國新博士は語ります。台湾師範大学美術学科で学士号と修士号を取得し、在学中に国画や書法で数々の賞を受賞しました。また、于右任先生から複数の芸術奨学金を授与され、個展も開催しています。学生時代、偶然の機会で多くの骨董商と出会い、名家の作品を模写することで、書法や絵画の精髄を深く味わい、鑑定の実務的な技術も学びました。これが芸術鑑定への興味の始まりでした。

修士課程修了後、華人地域での書画鑑定学の体系的な発展がまだ数十年であることを受け、葉博士は西洋の鑑定論理と実務を学ぶため、イギリス・ロンドンへ留学しました。西洋美術研究や中国現代美術史の権威であるスーリヴァン教授や、シカゴ美術館のアジア館長であるワン・タオ教授、ブライアン・ホーケンブリッジ教授から、芸術スタイル学や創作方法学、市場実務操作などを学びました。また、李昌鈺博士からは文書や科学的鑑識方法を学び、東西の学説と市場実務経験を融合させ、独自の華人鑑定学派を築き上げました。

失われた歴史のピースを探して

特に印象深い鑑定依頼として、葉國新博士は次のようなエピソードを語ります。「ある顧客から胡適先生の作品と収蔵品の鑑定を依頼され、整理していると、丸められた紙が隅にありました。開いてみると、アメリカの『タイム』誌創設者であるヘンリー・ルース宛ての胡適先生の英語の手紙で、雷震事件の処理についての意見が書かれていました。これらの手稿を鑑定したところ、胡適先生がアメリカの『タイム』誌創設者ヘンリー・ルースに宛てたもので、当時の民主主義と自由を守る姿勢を示す貴重な歴史的資料であることが分かりました。

この鑑定経験は、歴史教育の意義が芸術鑑賞の領域を超えるものであり、葉博士にとって大きな達成感をもたらしました。この手稿は、葉博士の鑑定と考証により、華人地域の収集家たちに争って収集され、オークションで高額で取引されました。

鑑定は最も深い鑑賞である

鑑定士は、優れた芸術品の真贋を見極めるだけでなく、その質の良し悪しや適正な価値を判断する役割も担います。葉國新博士は、東方の書画鑑定方法に、西洋の科学的で体系的な鑑定手法を取り入れた方法論を確立し、『墨海春秋──古今書画芸術鑑蔵研究』という書籍をまとめました。この書籍は、鑑定学の基本的な常識と体系的な知識を提供し、読者が作品の真贋を判断し、正しい鑑定